2009 年09 月04 日(金) 桜井
越し方30年、行く末∞
25歳でいわば起業し、印刷の何たるかもよく知らず仕事を受け、お客様を泣かせた日もあった・・・。
9月1日、TRYが満31歳を迎えた日、感慨というよりも相変わらず忙しい日常に、「始めた時と変わらないなあ」と一人ごち、ある出来事を思い出すのです。
* * *
事務用箋などの天のりってご存知ですよね。上のほうにうっすらと糊がついて、1枚ずつはがして使うアレです。これを慣れない私たちが自分たちでやったため、糊が数センチ紙の間に入り込み、できたものは全体が波打ち、本来1枚ずつパラリとはがれるはずが、何とベリベリッと、・・・はがれないー!無理やりはがして品物をお渡しして、泣く泣く帰ったお客様からお代だけはもらったという、今思うと空恐ろしい会社の始まりでした。
当時は本も手作り感いっぱいでした。
原稿をいただいて、
タイプ打ち(もちろん手動・パッコン、パッコン超アナログ)
↓
印刷(町の小さな印刷屋さんとしては、立派な印刷機や製版機を買いました)
↓
○折り(刷ったものを折り屋さんに2つ折りや4つ折りしてもらう)
↓
製本(ページ順に1枚1枚手で揃えて-丁合といいます-、背の部分を糊でしっかり止め、同様背の部分だけ糊をつけた表紙を巻きつけて、1冊ずつきちんと重ねて一晩置く)
↓
○化粧仕上げ(断裁屋さんで本の三方をきれいに断裁してもらって、本が完成)
この○の部分だけ、機械がないため外にお願いし、ほとんどが社内手作り。その頃は市民運動や地域情報のミニコミ紙(誌)が全盛の時代で、手作りすることに抵抗もありません。(これは自分たちの発行するミニコミ誌と、お金をいただく製品を作るということの差の認識がなかったとも言えます。)
しかし1日中タイプを打って、“やれやれ明日の校正出し分は終わった”という時間から製本にとりかかるのは、いくら若いとは言え相当な肉体労働でとてもきつかった。
ある日、印刷まですれば後は全部やってくれる「製本屋さん」というところが世の中にあると聞いて、心底感動し、ほっとしたのでした。これでお客様を泣かせることもなく、夜の製本作業からも解放されたわけです。
30年経ってもこの2つのことは思い出します。
会社が31年目、同じ頃に生まれた娘もそろそろ30歳。そう思うと長い時間ですが、振り向いてみても、30年間の全てを思い出すわけでもなし、あっという間だったというのも実感です。この間、社員の数も増え、お客様からいただいた名刺も何千にもなり、そのおかげでこれまでやってこれたと、深く深く感謝。今年の夏には30年連れ添った(?)役員の1人がつれあいの実家の農業を手伝うことになり長野に移りました。多分このサイトに“信濃りんご通信”か何かを寄せてくれると期待しています。「晴耕雨読」は、1つのゴールかもと思うと、少しだけうらやましい。
会社立ち上げも子育ても一緒くたで、訳が分からなくなりながら頑張った時代、バブルという現象にも無関係で、したがってそれがはじけても特に困らなかった時代、100年に1度と言われる景気後退は流石に厳しい、でもトライらしさを打ち出して向かっていく今。いつも一生懸命だ(った)けれど、一人でできることはホントにわずかだと知った時、達観したとも老化したとも思いました。
* * *
越し方はあっという間、しかし未来は∞と思い、次世代・次々世代の社員の人たちにこの仕事を続けてもらうべく、今日もいろんなものを取り散らかしては社員に迷惑をかけつつ、バトンタッチできるトライをやっぱり手作りしている桜井でした。
25年前の社員旅行(箱根)、全社員6名、(中央が桜井、社長はカメラマン)
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