家庭教師の思い出

  

ライターの那須です。

 

 

(Q.何の花でしょう?答えは本文最後にて)

 

白菜花.jpg

 

さて、その昔、家庭教師をしていたことがある私。

短期の子から数年にわたる子まで含めると、

トータルで20人くらいの子供達とご縁を持たせて頂いたでしょうか。

そこには数々のドラマがありました。

今日は数あるドラマから一つご紹介。

 

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その日、教えていた子は小4男子、ヒロくん(仮名)。

90分の勉強を終えるとヒロくんが言いました。

 

「今日ね、先生にプレゼントがあるんだ。

ちょっと目をつむってて」

 

大人気なく本気でワクワクしながら

言われたとおり目を閉じて待っていると

机の上にゴロンと

何か大きくて重いものが置かれた気配。

 

「もういいよー」

そう言われて目を開けると

そこにあったものは

なぜか

 

 

白菜…。

 

 

しかも

なんとも不恰好で、虫くいがヒドイ…。

 

 

内心、(こ、これがプレゼント…?(゚ω゚;))と思ったけれど

そこは大人らしく笑顔でお礼を言いました。

「お~! 白菜だー! ありがとう!」

(↑なにが「お~!」なんだか…)

 

するとヒロくんは誇らしげに言いました。

「それね、ボクが苗から作ったんだよ。

無農薬だから、虫がついちゃって大変だった。

でもね、育ててるときから

ひとつは先生にあげようと思ってたんだ」

(↑こう話すヒロくんは、ホントに輝いていました)

 

まっすぐな瞳でそう言われた私は

鼻の奥がツンと痛くなり涙目に…。

 

そんな私を見てヒロくんは

「ごめんね…。

これでも一番きれいなやつなんだよ…」

と泣きそうな顔で言いました。

 

「ちがうよぉ。

嬉しくて涙が出たんだよぅっ」

と私。

 

するとヒロくんは一瞬、考えてから

また泣きそうな顔で

「先生、ハクサイ、買えないの…?」

 

(えぇ!? 普通、そういう解釈するぅ…???

そういや、この子は国語のテストでも

主人公の気持ちを読み取る問題が苦手だったな…)

 

このトンチンカン発言で感涙の情も一気に冷めました。

そして私は宿題ノートに次のような問題を出しました。

「ヒロくんが作った白菜をプレゼントされ、

先生は泣いてしまいました。それはなぜでしょう?」

 

模範解答は(あくまでも一例ですが)、

「白菜は白菜でも、その白菜は

ボクが一生けんめいに育てた特別な白菜だったから」

とか、これが小4男子には難しすぎる回答だというのなら、

せめて

「先生は感動したから」

とか、そんな感じなわけですよ。

 

 

そして翌週 ―。

宿題ノートに書かれていた答えは…

 

 

 

「先生はナスだから。」

 

 

 

(チーン…。不正解どころか、意味不明です…)

 

でも、その意味不明さが私のツボにハマリ、私は大爆笑。

つられて、ヒロくんも大爆笑。

つられて笑っている場合じゃない国語力なのに

ゲラ笑いするヒロくんの姿が私の笑いをさらに誘う。

とにもかくにも、ふたりで涙が出るほど笑ったのでした。

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今でも白菜を見るたびに

当時の涙と爆笑を思い出します。

 

以上、ナスによる白菜の思い出でした。

 

ちなみにトップの写真は、「白菜の花」です。

野菜の花は皆、どこまでも清らかで美しいなぁと思います。

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最終更新:2024/12/16 RSSについて

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