2010 年07 月21 日(水) senoo
iPad/電子ブックレポート
トライにもついにiPadが届きました。店頭ではデモ機が普通にありますし、町中で使っている人もちらほら見かけるようになってきて、特別なモノではなくなってきたようです。トライでは、主に電子ブックの検証に使いますが、今回のブログはそのレポートです。
使ってみてまず関心したのが操作の軽快さと簡単さ。とにかくスムーズに動き、ひととおりの操作方法を覚えると早くも使いなれた感じがあります。
ただ、気になるのはやはり重さで、約700グラムという重量は持ち続けて何かをするには結構な腕力を要求されます。iPadが出た際に、あれで本を読むか?という疑問を持った人は少なくないと思いますが、正直、電車の中で片手で持ち続けるのは無理かなと思います。ただ、テーブルの上や膝の上では全く問題ありません。いつでも携行して、どこでも取り出してWebができたり、本が読めたりして、しかもその画面を人とシェアできるというのやはり魅力です。
iPadが届いたその日に、電子ブック作成ツールのActibookがiPad対応となりました。偶然とはいえ、電子ブックという近未来的なモノが一気にリアルなモノになってきました。Actibookはデザイン・DTPで作成したPDFを取り込んで、電子書籍に変身させます。PC版(WEBブラウザ)でもiPhone/iPad版でも制作工程はほぼ同じですが、出来上がった電子書籍のフォーマットが違います。PC版はFlashですが、Flashが再生できないiPhone/iPadでは違うフォーマットです。
実際に電子ブックの制作作業に入りました。といっても実作業は主に電子編集室のK君とS君にお願いしていて、今回も両名に協力してもらいました。
作業自体はWeb版の電子ブックをつくるのとほとんど変わらないので、難しいことはないようですが、出来上がったモノを見ると、気になる点がいくつかあります。
たとえば、読み込みに若干の時間がかかる。ページめくりが横にスライドするだけ。縦横比の違いによる余白。アプリが落ちる。など、まだまだ改善の余地がありそうです。
特に気になるというか気にした方が良いなと思ったのが、「余白」です。今のところ、「制作した印刷物を電子ブックにしてみる」という発想のもと作業していますが、例えば印刷物が四六版の縦組み書籍とするとそれをiPadで表示すると、のど側にかなり余白ができます。iPadの方が四六版より横幅の比率が大きいのでその分の余白ができてしまいます。その上、元々紙の書籍の場合は、版面と仕上りサイズの間隔に余裕を持たせる傾向があるので、縦横比による余白が入ると1ページあたりの情報量が少なく感じます。
紙ではなく、iPadという媒体で見せる以上、それに合わせた見せ方の工夫が必要のようで、今のところ「制作した印刷物を電子ブックにしてみる」という発想ですが、そのうち「電子ブック用の体裁でつくる」ことを考えた方が良いようです。
Actibookとは別に、電子ブックビューアーソフトにi文庫HDというソフトがあります。有料ソフトなのですが、電子ブックを見るソフトとしてはそこそこ有名で、青空文庫のデータが元から入っていたりします。このソフトはPDFファイルも閲覧できますが、試しにActibookと同じデータをPDFにして表示してみると、結構良い感じです。制約はありますが、見開き表示ができますし、ページめくりも実際手でめくっている感覚で、それなりに軽快です。
電子ブックのフォーマットでEPUBが普及しつつありますが、現況からするとPDFも捨てたものではないかもしれません。EPUBは対応するアプリケーションが少ない上に、書き出きだせたとしても結構な手直しが必要です(私にはできません)。その点、PDFは作業時間もコストも読めるので今の時点では一つの方法のように思えます。Actibookと合わせてどちらが良いのか検討してみる価値はありそうです。
始まったばかりの電子ブックですが、iPadばかりではなく他の媒体も含めて目が離せません。個人的にはキンドルの日本語版も気になります。新しい展開がありましたら別の機会にご報告します。
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