2019 年02 月19 日(火) 今村
都市・旅「尾張名古屋は城でもつ」
「尾張名古屋は城でもつ」
愛知県民以外の方でも聞いたことがあるフレーズだと思います。
名古屋市は濃尾平野の中心、愛知県の中心都市で日本でも有数の大都市です。
古く江戸時代は尾張徳川家の名古屋城を中心に西ににらみをきかす拠点でした。
街のつくりも名古屋城の城下町を基礎としており、南北に走る大通りと、東西に走る大通りを中心に、碁盤の目のように整った街並みを有します。
当然、江戸時代の中心は名古屋城を中心とした城下町で、現在の「栄」を中心とした久屋大通界隈です。
この名古屋城ですが、名古屋台地と呼ばれる台地の上にあります。
地盤のしっかりした台地の北の縁に立っているのが名古屋城。南の縁に立っているのが三種の神器「草薙の剣」で有名な「熱田神宮」です。
この名古屋城と熱田神宮を結ぶ線が、久屋大通となっているわけです。
清須大返しと呼ばれたそれまでの中心地、清須を名古屋へ大移動した遷都から約400年。これまでの中心地であった栄に異変が起きていました。
400年続いた老舗百貨店「丸栄」の閉店です。
今、全国で起きている百貨店の衰退。
その大波が遂に名古屋の老舗デパートを飲み込んだのか、人の嗜好はもはや戻らない地点にきているのだなと、感じさせられる出来事でした。
しかし、同じ百貨店でもJR駅に隣接する「高島屋」などは増益です。
はて? 人々の嗜好が変わったのでなければ、いったい何が起きているのでしょうか?
答えは、街の中心の移動です。
今から150年前、江戸幕府が終わり、文明開化の夜明けとともに明治政府が推し進めた「鉄道敷設」。そのあまりに急ピッチな改革に土地の買収もなにも追いつかず、おおよそ鉄道駅は街の中心地から外れた土地の確保しやすい場所に設置されていきました。
駅と町の中心は相反関係にあります。
では、何故今、それまでの街の中心地に立つ百貨店が没落し、駅に隣接する百貨店は増益なのか。
どうやら、街の中心(人々の活動の中心)が「駅」に寄ってきているようなのです。
これはなにも大都市に限ったことではありません。
今や地方の都市は駅に利便性を集約し、コンパクトシティ、スマートシティ化しています。
150年かけて「駅」が昔の「城」に置き換わったのです。
今後ますます「駅」の重要性が増し、あらゆるトレンドや情報が「駅」を中心に発信されていくことになるでしょう。
全国にさきがけて、その縮図のような現象が「名古屋」にあらわれているのです。
それまでの名古屋の中心地であった「栄」の没落に比べ、「名古屋駅」のなんと洗練された街たることか。
まるで東京丸の内を歩いているような気分になりました。
歩道の道幅は広く、高層ビル同士が上層階でも横につながり、横移動が簡単にできる。
これはコンパクトシティが駅を中心にペデストリアンデッキで道をつないでいる構想とまったく同じです。車の往来を気にしなくて良い、まさに人中心の街づくりなのです。
今後の商業の中心が「駅」に寄ることが分かった以上、これからの商売の構想は「駅」を中心に考えて行くことが有効なのかもしれません。
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