甘味処
芋甚

住  所
文京区根津2-30-4
電  話
03-3821-5530
アクセス
東京メトロ千代田線「根津駅」より徒歩5分
ホームページ
営業時間や定休日などは以下のサイトでご確認ください
https://tabelog.com/tokyo/A1311/A131106/13003559/
https://www.instagram.com/imojin.nezu

「甘味処 芋甚」は、1912(大正元)年の創業時からこの地に店を構える老舗で、現在、4代目店主の山田博康さんがご家族で経営されています。

店名の「芋甚」は、初代の山田甚蔵さんが焼き芋屋として創業したことに由来します。
その後、1923(大正12)年にアイスクリーム屋に転業しました。同年に発生した関東大震災で、店は火事を免れたものの、常時火を扱うのが怖くなったことが理由だそうです。

100年以上続く老舗の甘味処。通りに面してガラス張りになっているので入りやすい

店内には、テーブルが5卓にイスが18席。
壁には、文京区ゆかりの催し物のポスターや、1996(平成8)年に建て替える前の店の絵などが飾られています。

店内の様子。明るく清潔感がある

メニューは、アイスやあんみつ、おしるこやかき氷(夏季限定)、くずもちやいそべ焼きなど、40種類ほどが並びます。
看板メニューは、あんみつにバニラアイスをトッピングした「クリームあんみつ」(580円)や、あんみつに少し小ぶりのバニラアイスと小倉アイスを盛り合わせた「アベックあんみつ」(680円)です。

今回は「アベックあんみつ」をいただきました!

アベックあんみつ(680円)。アイスは単品(写真よりもひと回り大きい)でも注文できる

まずは2種類のアイスから。
どちらもシャーベットのようなサクサクとした軽い口当たりで、素朴な甘みです。

自家製のこしあんは、なめらかでやわらかく、少しの粘度と瑞々しさを感じさせる仕上がり。
サクサクのアイスと合わせて食べると、対照的な食感を楽しめるうえ、アイスがクリーミーかつ濃厚な甘さに変化したような感覚も味わえます。

器にぎっしりと入った特注の寒天に、塩味の効いた赤えんどう豆や、求肥、フルーツが盛られ、上から自家製の黒蜜がかけられています。

黒蜜は、蜜にしたときにクセを感じさせない黒糖を厳選し、三温糖、水あめ、さらに企業秘密の「あるモノ」を加えて作っている、芋甚自慢の逸品です。
サラッとしてエグミがなく、甘さ控えめなのにコクを感じる味わいです。

アイスやあん、黒蜜などの材料や製法は、博康さんの父親が3代目を務めていた昭和のころから、変えることなく守り続けています。

ひとつの器の中にたくさんのこだわりが詰まっていて、どのタイミングで何を食べようか、どれとどれを合わせて“味変”しようかと迷ってしまいます。

個人的なオススメの食べ方は、2種類のアイスを少しずつ残し、最後に器に残った黒蜜と絡めながら食べること!
写真の通り、アイスに黒蜜はかかっておらず、黒蜜は時間とともに器の下の方にたまっていくので、「アイス×黒蜜」をじっくり楽しみたいなら、アイスを最後まで残しておくのがベストというわけです。

なお、持ち帰り可能な商品もあり、夏にはアイスモナカ、秋・冬には「昭和焼き」と名付けられた大判焼きを、食べ歩き用に購入していく人も数多くいます。

持ち帰りコーナー。アイスモナカや大判焼きの食べ歩きもオススメ

博康さんは「昭和の味を守ることが売りのひとつになっていますが、むしろ材料を少し変えただけでも常連さんから『変わったね』と言われるので、うかつに変えられないんです」と笑顔でお話しくださいました。

昭和の味を堪能しに、ぜひ寄ってみてはいかがでしょうか。

文京風景 memo

取材中、かき氷の「あずきミルク」を食べ終えた女性客が「小豆がおいしいですね!」と、博康さんに声をかけていました。
女性は、浅草出身で甘味処によく行くので、小豆に手間をかけているかどうかがよく分かるのだそう。
芋甚では、かき氷用、あんみつ用、大判焼き用と、メニューに合わせて別々に小豆を煮ています。全部試してみたくなりますね。

トライ ライター 小松亜子