金井直詩料館
- 住 所
- 文京区白山2-32-9
- 電 話
- 03-5684-3853
- アクセス
- 都営三田線「白山駅」下車 徒歩5分
- 開 館 日
- 定期毎月第二・第四土曜日、ほか不定期
(基本的にご家族によって運営されているため、閲覧を希望される方は事前の連絡をお願いします)
- 入 館 料
- 無料
金井直詩料館は小石川植物園の東側に位置しています。
まずは、白山駅を出てすぐの薬師坂を白山通りに向かってゆるやかに下り、そのまま大通りを南下します。100mほど歩いて右の小道に入ると、目印となる指ヶ谷(さすがや)小学校があります。この先の小さな急坂を上って開けたところに現れる、ほかとは少し様子の違ったかわいらしい家。これが金井直詩料館です。
入り口の上部には小さな看板も掲げられていますので、土地勘のない方でもすぐに見つけることができるでしょう。
閑静な住宅街に佇む金井直詩料館は、1999年に開館。金井直の生前のゆかりの地・白山に、家族の手によって建てられました。事前の電話連絡の際と同じく、見学時もご家族の方が丁寧に対応してくださいました。
まずは、いただいた詩料館のリーフレットから金井直の略歴を紹介したいと思います。
【金井直 略歴】
1926年に東京・滝野川町西ヶ原に誕生。
1943年から絵画を志したが、戦後、詩作に専念。
1957年には詩集『飢渇』により第7回H氏賞を受賞。
1963年、詩集『無実の歌』により第6回高村光太郎賞を受賞。
1972年から文化学院講師、1979年からは愛知大学講師を務めました。
1997年、永眠。享年71歳。
生涯に、詩集として『疑惑』『Ego』『深夜の幻燈』『帰郷』『愛と死の歌』 『幽という女』『埋もれた手記』『言葉の影』など29冊、短編集として『閉ざされた世界』『蓑虫記』など5冊、評論集6冊、随想集3冊、童話3冊、句集3冊など、多数の著書を残した作家・金井直。
展示室に入った正面には詳しい年譜がパネルで貼られており、その業績を詳しく知ることができます。
展示室内は4m四方ほどのこぢんまりとしたものですが、詩集の初版本や生原稿、遺稿などの全著作を展示。
この中には絶版となった貴重な本も並んでおり、手にして実際に読むこともできます。
また、書物のほかに本人の手による油絵、版画、書などが飾られており、優しいタッチで描かれた自画像や花の油絵が目を楽しませてくれます。
多くの詩の中でも1948年に創作された『木琴』は、中学校国語教科書『国語Ⅰ』に1975年度より収録され、日本国民のうち2000万人以上が学んだ作品として特に有名ですので、ご存知の方も多いことでしょう。
展示室にはこの教科書も一緒に展示されていました。
同様に『高等学校国語Ⅰ』教科書に収録された詩『散る日』は1956年に創作。
自作解説からは創作当時の本人の生活や志向、詩に定着させようとしたイメージなどを知ることができます。
探求を続けた永遠的な世界・絶対的な世界について、また時間を超えた無限の真理を求めるというテーマについて言及しており、金井直が自己の詩を宇宙的形而上詩と語っていることからも、「宇宙を司る存在の真理」=「真の自己」に出会うために創作を続けていたことを伺い知ることができるでしょう。
また、作詞した校歌の楽譜や、1950年以降に影響を受けたという金子光晴やリルケの紹介なども行われています。
展示物以外にも詩料館奥には書籍庫があり、文人、ご友人からの書簡や生原稿などが保存されていて、現在も同氏に師事された方によって管理されているそうです。在庫のある刊行本については、希望される方に販売および頒布も行っています。
詩料館に伺う前までは詩と随筆が主な創作と思っていましたが、新しく知った俳句の中にも同じ世界感を感じることができました。
空蝉の泥にまみれてくる師走
俳号 堀 冬井。
11月の晴天の日に伺いましたが、これからやってくる慌ただしい師走と厳しくなる冬の寒さを思って、妙に感慨深く、詩料館を後にしました。