駒込土物店跡
- 住 所
- 文京区本駒込1-6-16
- アクセス
- 東京メトロ南北線「本駒込駅」下車 徒歩1分
白山上の交差点から本郷通りに抜ける細い道があります。この抜け道には、食べ物屋や下駄屋、花屋などが並び、なんとも居心地のよい、こぢんまりした商店街になっています。この道は遠く埼玉県岩槻市から日光にまで行く岩槻街道に続いていますが、本郷通りと交わる辺りには、第二次世界大戦前まで駒込の青物市場がありました。近所の人は市場とは言わずに「土物店」とか「辻のやっちゃ場」と呼んでいたそうですが、そのルーツは400年近くもさかのぼることができます。
江戸時代初期の元和年間、江戸市中まで野菜を売りに行く農民たちが、この辺りにあった大きなサイカチの木下で一休みしがてら、野菜を交換したり売ったりしていました。その内にうわさを聞いて人が集まり、市が立ち、辻の辺りには青物問屋が建ち並びました。やがて神田・千住と並ぶ江戸の三大市場と呼ばれ、幕府の御用市場にまでなったのです。駒込青物市場は昭和12年に巣鴨に移転し、豊島青果市場となって現在にいたっています。
現在は本郷通り沿いにある天栄寺の境内にその由来を書いた「駒込土物店縁起」という石碑が残されています。「土物店」というのはニンジンやゴボウ、サトイモなどの土のついたままの野菜を多く扱っていたために付いた名前です。
これは文京区のふるさと歴史館にある土物店復元模型です。今は、一日中たくさんの車が行き交う本郷通りにこんなのどかな市場があったと思うとなんとも愉快な気分になってきます。